中国からの緑茶輸入がFY2025に5,801トン(前年比+82%、出典:財務省貿易統計)に達した今、日本の茶バイヤーにとって中国茶サプライヤーの品質評価は最重要課題となっています。
ポジティブリスト制度の概要は多くの方がご存知でしょう。しかし、実際にどの物質が不合格を引き起こしているのか、サプライヤー選定時に何を確認すべきかを具体的に把握している方は多くありません。
ポジティブリスト制度の概要
2006年5月施行(出典:厚生労働省・食品衛生法ポジティブリスト制度)。すべての農薬等に残留基準値(MRL)を設定する包括的な制度です。
- 800以上の物質に個別MRLを設定
- 茶の輸入には266種の農薬検査が適用
- 個別基準のない物質は一律基準0.01ppm(実質ゼロ容認)
不合格を引き起こす4つの主要物質
1. フィプロニル(Fipronil)
- 日本MRL:0.002 ppm(出典:厚生労働省・残留農薬基準)
- 不合格原因:隣接する水田の害虫防除で使用→水流・風で茶園に移行
- バイヤーへの示唆:茶農家が使用していなくても検出される。圃場レベルのトレーサビリティが不可欠
2. インドキサカルブ(Indoxacarb)
- 日本MRL:作物により異なる(茶は厳格)
- 不合格原因:生産国で認可されていても日本では制限
- バイヤーへの示唆:「原産国で合法」≠「日本で合法」。日本固有のMRLを確認すること
3. トリアゾホス(Triazophos)
- 日本MRL:ほぼゼロ容認
- 不合格原因:有機リン系農薬の土壌残留。数年〜数十年持続
- バイヤーへの示唆:「この土地で以前何を栽培していたか?」をサプライヤーに確認
4. エンドスルファン(Endosulfan)
- 日本MRL:ほぼゼロ容認
- 不合格原因:2011年ストックホルム条約で禁止されたが、旧茶園の土壌に残留
- バイヤーへの示唆:新規開設茶園は転作地より遥かにリスクが低い
パターン:4つの主要不合格物質のうち3つは土壌汚染に起因し、現在の農薬使用ではありません。
バイヤーが確認すべき5つのポイント
ポイント1:圃場レベルのトレーサビリティ
工場レベルの証明書ではなく、圃場レベルのデータを要求してください:
– どの区画で収穫されたか(GPS座標)
– その土地で以前何が栽培されていたか
– 半径2km以内でどのような農薬が使用されているか
ポイント2:認定ラボでの出荷前検査
サプライヤーに確認:「出荷前検査はどのラボで実施していますか?」
– 回答は具体的なラボ名であるべき(厚生労働大臣の登録を受けた登録検査機関、または ISO 17025 認定ラボ。ISO 17025 は国際的な品質規格であり、それ自体では登録検査機関にはあたりません)
– 「社内で検査しています」は赤信号
ポイント3:フィプロニルの直近3バッチ検出値
フィプロニルのMRL 0.002 ppmは世界で最も厳格な基準の一つです。この数値を即答できるサプライヤーは、コンプライアンスに真剣に取り組んでいます。
ポイント4:日本ポジティブリスト+EU有機のデュアル認証
両方を持つサプライヤーは稀少ですが、日本と欧州の両市場を単一のサプライソースでカバーできます。これはバイヤーにとって大きな調達効率の向上です。
ポイント5:茶園の訪問(工場だけでなく)
優良なサプライヤーは茶園の訪問を歓迎します。工場見学のみで茶園への言及を避けるサプライヤーには、その理由を確認してください。
コンプライアンスコスト vs 不合格コスト
| シナリオ | コスト |
|---|---|
| 出荷前検査(266項目フルパネル) | $200-500/バッチ |
| 圃場土壌評価(初回) | $500-1,000/茶園 |
| 日本港での不合格 | 出荷全額(全損) |
| 以後の輸入に対する検査命令(食品衛生法第26条) | 法的費用+市場アクセス制限 |
$300の検査が$30,000の出荷を守ります。
茶葉以外の食品原料(ゼラチン、コラーゲンペプチド、植物エキスなど)の輸入届出、検査の種類、業務用原料の表示規則は食品原料を日本に輸入するにまとめています。
よくある質問
ポジティブリスト不合格の場合はどうなりますか?
港での輸入拒否。返送または廃棄費用、保管料、行政処分はすべて輸入者負担です。繰り返しの不合格は、食品衛生法第26条に基づく検査命令(以後の輸入について命令検査を受けるべき旨の命令)につながり得ます。
ポジティブリストはどのくらいの頻度で更新されますか?
残留基準(規格)を定めるのは内閣総理大臣で、食品衛生基準審議会の意見を聴いて定められます(食品衛生法第13条第1項)。個別物質の基準値は随時改定され得るため、特定の周期を前提に運用しないでください。なお、輸入届出の提出先および登録検査機関の登録は厚生労働大臣です(同法第27条、第31条、第33条第1項)——基準を定める主体と、届出・検査機関を所管する主体は別である点にご注意ください。
EUと日本の検査結果は共用できますか?
直接は不可。物質の重複はありますが、MRL値が異なり、日本がEUでは検査しない物質を検査します(逆も同様)。
残留基準値(MRL)と検出限界の違いは何ですか?
残留基準値(MRL)は法令上の限度で、食品衛生法第13条第1項に基づく規格として定められます。検出限界は分析法や機器が測定できる最小濃度であり、法令上の基準値ではありません。両者が混同されやすいのは、基準値が定められていない物質の扱いのためです。その場合は同条第3項により、人の健康を損なうおそれのない量として内閣総理大臣が定める量を超えて残留する食品は輸入・販売できません。ただし同項ただし書のとおり、第1項の規格が定められている物質についてはその規格が優先します。したがって「検出された=不適合」ではなく、どちらの経路で判定される物質かをまず確認してください。
日本向けのポジティブリスト検査は、どの機関で受けられますか?
登録検査機関です。厚生労働大臣の登録を受けた法人がこれにあたり(食品衛生法第33条第1項、申請手続は第31条)、輸入届出の提出先も厚生労働大臣です(同法第27条)。一方で残留基準そのものを定めるのは内閣総理大臣であり(同法第13条第1項)、基準を定める主体と、届出および検査機関を所管する主体は分かれています。ISO 17025 は国際的な品質規格であり、認定を受けていること自体では登録検査機関にはあたりません。なお、経済産業省はこの制度に関与しません。食品衛生法の全文に「経済産業」の語は一度も現れません。
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Terra Vista Co., Ltd.(Terra Vista株式会社)は、中国茶輸出企業の日本ポジティブリスト適合を支援します。圃場評価から出荷前検査、バイヤー向けドキュメンテーションまで、貴州・浙江から日本への検証済みサプライチェーンでコンプライアンスギャップを埋めます。
ポジティブリスト適合についてのご相談: info@terravista.co.jp
データソース:食品衛生法(ポジティブリスト制度・第13条/第26条/第27条/第31条/第33条、e-Gov 322AC0000000233)/ 財務省貿易統計FY2025(5,801トン +82%)
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