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PSE認証の落とし穴:2022年の3つのリコール事例と、日本市場参入前に知るべきこと

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日本において、PSE認証を取得せずに電気製品を販売することは、規制上のグレーゾーンではありません。刑事犯罪です。電気用品安全法第57条は行為者に「一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定めます。第59条第一号の一億円以下の罰金刑は、第57条のうち第二号及び第六号に係る部分に限られ、それ以外の違反は各本条の罰金刑によります(e-Gov 電気用品安全法 原文)。

多くの輸入業者やブランドマネージャーは、PSE認証をチェックリストの一項目として扱います。しかし実際のデータが示すのは、日本市場で数十年の実績を持つ著名な国内メーカーでさえ、PSEコンプライアンスで問題を起こしているという事実です。そしてその結果は、公開され、永続します。

PSE認証が実際に求めるもの

PSEとは「電気用品安全法(DENAN)」に基づく認証制度であり、経済産業省(METI)が所管する電気製品の強制安全認証フレームワークです。

電気用品安全法施行令で定められた電気用品は、輸入品か国産品か、オンラインか店頭かを問わず、PSEマークを表示しなければ販売できません。マークには2種類あります。

  • 丸形PSEマーク(特定電気用品以外の電気用品):届出事業者による自己確認。METI 令和4年度試買テスト結果の概要は、電気ストーブ、空気清浄機、エル・イー・ディー・電灯器具、電子レンジ、リチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリー等)をこの分類に挙げています(METI 令和4年度試買テスト結果の概要 PDF)。
  • 菱形PSEマーク(特定電気用品):登録検査機関による適合性検査が必要。同報告はこの分類に直流電源装置、その他の家庭機器用変圧器、観賞魚用ヒーターを挙げ、令和3年度報告は直流電源装置、変圧器、電気温水器を挙げています(METI 令和3年度報告 PDF)。

正しいPSEマークがなければ、製品を合法的に市場に出すことはできません。販売事業者は、オンライン販売であっても、PSEマークが付いていない電気用品を販売・陳列できません(第27条)。危険や障害が生じるおそれがあり、販売者を特定できないなど、販売者による対応が見込めない場合には、経済産業大臣がオンラインモールなどの取引デジタルプラットフォームに出品の停止などを要請することもできます(第42条の7)。METIは毎年、市場で製品を買い上げて試験する試買テストも実施しています。

数字が示す厳しい現実

METIの年次市場調査結果は、不適合がいかに広範に存在するかを示しています。

  • 2021年度:176品目を購入・検査 → 50.6%が不適合
  • 2022年度:163品目を検査 → 49.7%が不適合

この「約半数」には範囲の但し書きが要ります。試買テストは無作為抽出ではありません。令和4年度報告は「技術基準の不適合が強く疑われる製品又は事故が多い製品を中心に」購入すると明記しており、この比率はリスクを狙って集めた標本を表すもので、日本市場全体の不適合率ではありません(METI 令和4年度報告)。標本は輸入機種が多数を占めます——令和3年度は176機種中155機種、令和4年度は163機種中142機種が輸入機種です。

2022年の3つの実際のリコール事例

以下の3事例の実施日・型番・対象台数・理由は、METIリコール情報の公表原文の口径に従っています。3件とも事業者による回収であり、公表文にMETIの行政命令の記載はありません。

タイガー魔法瓶 — 2022年

日本の代表的なキッチン家電ブランドであるタイガー魔法瓶は、2022年4月15日、電気湯沸器と電気炊飯器について自主回収・交換を実施しました。対象は約133万3千台、製造期間は2020年3月21日から2022年2月20日です。METIの公表理由は「電源コードの差込みプラグの材質に相違が生じ、技術基準不適合品が混入されていると判明したため」。公表文はマグネット着脱式電源コードを対象製品の確認方法として挙げており、不適合の原因としてではありません(METIリコール情報 2022-04-15)。

この事例で重要なのは、これが粗悪な輸入品の話ではないという点です。長年の実績を持つ国内メーカーによる製造上の判断が、METIの技術基準審査をクリアできなかったのです。

ハイアールアジア(ハイアール) — 2022年

中国ハイアール集団の日本法人であるハイアールジャパンセールスは、2022年10月11日、電気炊飯器 JJ-M55D について回収・交換を実施しました。対象は52,092台、販売期間は2018年11月から2022年4月です。METIの公表理由は「製品が焼損する重大製品事故が発生し、同様の事故発生の可能性があるため」です(METIリコール情報 2022-10-11)。

PSEは一度取得すれば終わりではありません。タイガー魔法瓶の事例の理由は、まさに差込みプラグの材質の相違により技術基準不適合品が混入したことでした。部品の調達先変更や仕様変更は、既に市場に出ている機種を適合性作業の対象に戻し得ます。

象印マホービン — 2022年

老舗キッチン用品メーカーの象印マホービンは、2022年11月17日、電気ホットプレート EX-AJ30型 について回収・返金を実施しました。対象は7,056台、製造期間は2022年7月4日から9月13日です。METIの公表理由は「長期使用すると、ヒーター及び遮熱板に微量の電流が流れる可能性があるため」。この公表はあくまで事業者による自主回収の登録であり、METIとNITEの共同検査という記載はありません(METIリコール情報 2022-11-17)。

象印の事例が特に示唆深いのは、問題が長期使用テストで発見された点です。初期の適合検査をクリアした製品であっても、使用経過とともにコンプライアンス上の問題が生じることがあります。

不適合が発覚した場合に起きること

METIの主な執行手段は2つあります。

第一に、不適合企業と製品名をMETI公式ウェブサイトで公表することがあります(第42条の8)。この公開記録は継続的に参照可能であり、バイヤー・流通業者・ECプラットフォームがデューデリジェンスを行う際に誰でも確認できます。

第二に、経済産業大臣は届出事業者に対し、製造・輸入・検査の方法の改善を命じること(第11条)、不適合などがあった型式の電気用品へのPSEマークの表示を1年以内の期間を定めて禁止すること(第12条)、危険や障害が生じるおそれがある場合に回収などを命じること(第42条の5)ができます。マークのない電気用品の販売や、回収などの命令への違反には罰則があります(第57条)。

海外ブランドの場合は、誰が届出事業者になるのかを先に決めておく必要があります。電気用品安全法第3条は、電気用品を製造または輸入する事業者に事業の届出を求め、第8条はその届出事業者に技術基準への適合と検査記録の保存を義務づけています。日本の輸入事業者が輸入する場合は、その事業者が自らの名義で届け出ます。国内の輸入事業者を介さず、海外から日本の消費者に直接販売する場合は、2025年12月25日以降、海外の事業者自身が届出主体となり、日本国内の責任者(国内管理人)を選任して届け出なければなりません(経済産業省)。書類の準備は代行者に任せられますが、義務を負うのは届出事業者であり、上に挙げた命令や表示の禁止を受けるのもこの事業者です。

違反発生率の高い製品カテゴリー

METIの調査データで継続的に高い違反率を示しているのは以下のカテゴリーです。

  1. 充電器・モバイルバッテリー(常に最多)
  2. LED照明製品
  3. ACアダプター・電源装置
  4. 炊飯器・小型家電

これらのカテゴリーは、中国・東南アジアのメーカーが日本市場参入で最も頻繁に検討する消費者向け電子機器の主要製品群と重なっています。

実務上の含意

タイガーと象印の事例が明確に示すのは、PSEコンプライアンスは継続的な業務上の責任であり、製品登録時に一度完了させるものではないという点です。長年の国内市場実績を持つブランドでも、製造工程の変更や長期的な性能特性の変化が生じれば、リコールに直面します。

日本市場に参入する海外ブランドにとって、これはPSE認証が初期の適合書類を揃えるだけでなく、継続的なモニタリング体制の構築、部品変更管理プロセスの整備、届出事業者との連携管理を必要とすることを意味します。

問うべき問いは「PSEコンプライアンスが必要かどうか」ではありません。それは明白です。問うべきは、METIの年次調査で発覚する前に、製品が市場に出る前に、適切なプロセスが構築されているかどうかです。

よくある質問

PSE認証は日本で販売されるすべての電気製品に義務づけられていますか?

すべてではありません。対象は、電気用品安全法施行令で定められた電気用品(特定電気用品116品目と、それ以外の341品目)です。対象品目は、輸入・国産、オンライン・実店舗を問わず、PSEマークの表示がなければ販売できず、違反には刑事罰があります。

PSE不適合に対する罰則はどのようなものですか?

行為者は第57条により一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又はその併科です。法人については、第59条第一号の一億円以下の罰金刑は第57条の第二号及び第六号に係る部分に限られ、それ以外は各本条の罰金刑によります。金銭的ペナルティに加え、METIは不適合企業をウェブサイト上で公表することがあります。この記録は継続的に参照可能であり、流通業者や小売プラットフォームとの関係に直接影響します。

PSE違反率が特に高い製品カテゴリーはどれですか?

METIの試買テスト結果によると、技術基準の不適合率は令和3年度50.6%、令和4年度49.7%でした。ただしこの試買テストはリスクを狙った抽出であり(令和4年度報告は「技術基準の不適合が強く疑われる製品又は事故が多い製品を中心に」購入と明記)、市場全体の不適合率としては読めません。

国内の著名メーカーもPSEの問題に直面することがありますか?

はい。2022年、タイガー魔法瓶は電気湯沸器と電気炊飯器を自主回収・交換(約133万3千台、理由は差込みプラグの材質の相違による技術基準不適合品の混入)、象印マホービンは電気ホットプレート7,056台を回収・返金(理由は長期使用時にヒーター及び遮熱板へ微量の電流が流れる可能性)、ハイアールジャパンセールスは電気炊飯器52,092台を回収・交換(理由は製品が焼損する重大製品事故の発生)しています。いずれもMETIリコール情報の公表口径によるもので、3件とも事業者による回収です。

日本市場参入には届出事業者の設置が必要ですか?

新たに「設置」するというより、誰が届出事業者になるかを決めることが必要です。届出の義務を負うのは電気用品を製造または輸入する事業者で、菱形PSEでも丸形PSEでも変わりません。日本の輸入事業者が輸入する場合は、その事業者が届け出ます。国内の輸入事業者を介さず、海外から日本の消費者に直接販売する場合は、海外の事業者自身が日本国内の責任者(国内管理人)を選任したうえで届け出ます。

Terra Vista Co., Ltd.(Terra Vista株式会社)は、日本に法人登録し、日本市場参入を目指すブランドおよびメーカーをサポートしています。製品ごとのPSE区分の判定と必要な手続きの整理、輸入者の引き受け(輸入代行)、流通パートナーのマッチングを行っています。詳細はPSEの区分と手続きのページをご覧ください。

お問い合わせ:info@terravista.co.jp

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