建設分野の特定技能で、受け入れる人数に比例して積み上がる経常支出は、JACの受入負担金です。1号特定技能外国人1人あたり月額12,500円、1年で15万円が、受入れが続く限り毎月発生します。ただし最も大きい費目とは限りません。正会員団体に所属せず賛助会員として加入する場合は、受入人数と無関係に年会費24万円が毎年かかり、受入れが1人の間は年会費のほうが大きくなります。受入企業が負担する費目は、公表額が確定しているもの、加入ルートの選択で変わるもの、公表統一値を確認できていないものに分かれます。稟議で問われるのは総額の大小ではなく、この区別を付けて根拠を示せるかどうかです。
公表額が確定している分だけなら、小計は書けます。月初に就労を開始して12か月受け入れ(受入負担金のカウントが12か月になる場合)、国内在留者からの変更許可、技能者登録が詳細型なら、受入負担金150,000円(12,500円×12か月)+CCUS技能者登録料4,900円(税込)+在留資格変更許可6,000円=160,900円が、この3項目の1人あたり初年度小計です。オンライン申請なら変更許可は5,500円で、小計は160,400円になります。月の途中で就労を開始するとカウントは13か月となり、受入負担金は162,500円、小計は173,400円(オンライン申請なら172,900円)です。
会社単位のCCUS事業者登録料・建設業許可・賛助会員の年会費は人数を掛けずに別建てで並べ、管理者ID利用料は人数ではなくID本数を掛けます。支援委託費・受入計画の認定申請手数料と、正会員団体が傘下企業から徴収する会費は、企業の負担額の公表を確認できていないため空欄のまま起案します。JACが公表する正会員年会費36万円は、団体がJACに納める額であって受入企業の負担額ではありません。
稟議書に貼る費用内訳表(出典つき)
「費目・単位・金額・周期・備考・出典」の6列で作ると、金額と同時にその前提と根拠の所在を1枚で示せます。単位列を置くのは、1人あたり・1社あたり・1IDあたり・1人日および現場あたりが混在しているためです。この列がないと、会社単位の費目は人数分に膨らみ、ID単位の費目は逆に本数分を取りこぼします。備考欄は、金額だけを見て漏らしやすい前提を書く欄です(出典はいずれも2026年8月14日取得)。
| 費目 | 単位 | 金額 | 周期 | 備考(見落としやすい前提) | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| JAC受入負担金 | 1人あたり | 12,500円 | 毎月 | 日割計算なし。特定技能2号は対象外。本人負担は禁止 | 金額はJAC「年会費と受入負担金」/備考3点はJAC『外国人受入れマニュアル』第2章03「受入れにかかる費用」 |
| JAC年会費(正会員団体の傘下) | 1社あたり | 0円 | 毎年 | JACには納めないが、所属する建設業者団体の定める会費が別途必要。統一額の公表はなく、団体ごとに確認が要る(同ページの正会員年会費36万円は、団体がJACに納める額) | 同上 |
| JAC年会費(賛助会員) | 1社あたり | 240,000円 | 毎年 | 正会員団体に所属しない場合の額 | 同上 |
| CCUS事業者登録料 | 1社あたり | 0〜2,400,000円(税込) | 5年ごと | 資本金区分で決まる。一人親方0円、500万円未満6,000円、500億円以上2,400,000円 | CCUS「システムの利用料金」 |
| CCUS技能者登録料 | 1人あたり | 簡略型2,500円/詳細型4,900円(税込) | 登録時 | 簡略型と詳細型で額が変わる | 同上 |
| CCUS管理者ID利用料 | 1IDあたり | 11,400円(税込) | 毎年 | ID数に比例する(最初の1IDは事業者登録で自動作成、追加分はシステムから有償で登録)。一人親方は2,400円。現場管理者として登録されたIDは利用料の対象外。JACが全額支援するが立替型(後述)で、支援対象IDの本数はJACの公表ページに記載がないため要確認。日本建設業連合会・全国建設業協会・全国中小建設業協会の会員のいわゆる元請企業は「就労履歴蓄積等促進支援制度」で申請 | 同上/JAC「CCUS手数料支援」 |
| CCUS現場利用料 | 1人日・現場あたり | 10円(税込) | 就業都度 | 元請負担。同一人が同日に別現場へ入場すると現場ごとに加算 | 同上(CCUS) |
| 在留資格手数料 | 1人あたり | 0円(認定証明書交付)/6,000円・オンライン5,500円(変更・更新) | 入国時・更新時 | 許可されるときに収入印紙で納付(不許可なら発生しない)。更新の回数は在留期間の個別指定によるため「毎年1回」とは限らない(後述) | 出入国在留管理庁 |
| 建設業許可・大臣許可の新規(未取得時) | 1社あたり | 登録免許税15万円 | 取得時 | 税金であり許可手数料ではない。納付先は税務署 | 国土交通省「許可申請の手続き」 |
| 建設業許可・知事許可の新規(未取得時) | 1社あたり | 許可手数料9万円 | 取得時 | 納付先は都道府県 | 同上 |
| 建設業許可・更新/同一許可区分内の追加 | 1社あたり | 許可手数料5万円 | 更新時 | 大臣許可は収入印紙で納入 | 同上 |
| 受入計画の認定申請 | 確認できず | 金額の定めを確認できず | 申請時 | 運用要領別冊に「手数料」の語はなく、認定申請が無料である旨の記載もない(同別冊で「無料」の語が使われているのは無料職業紹介に触れた1か所のみ) | 国土交通省・法務省 |
| 受入れ後講習(告示第3条第3項第8号) | 1人あたり | 受講料の額は確認できず/賃金と旅費は自社負担 | 受入れ後 | 国土交通大臣が指定した場合、参加させないと認定要件を満たさない。運用要領別冊は、受講を所属機関の業務の一環として「当該特定技能外国人の出勤日として取り扱う」とし、移動時間等を含む所要時間を「通常の出張と同様に取り扱う」としている(=講習日の賃金と旅費が発生する) | 同上(運用要領別冊) |
| 支援委託費(登録支援機関へ委託する場合) | 各社の見積による | 公表統一値を確認できていない | 契約による | 相場を推測せず、下記の粒度で複数社から見積根拠を取得する | 各社の見積による |
JAC加入とCCUS登録が要件になる条文上の根拠
この2つは建設分野に固有の認定要件で、根拠は、建設分野固有の基準を定めた平成31年国土交通省告示第357号(運用要領別冊で「告示」と略称されているもの)の第3条第3項です。条文は要件ごとに枝番が分かれており、まとめて1つの号を引くと稟議で差し戻されます。
- 第1号イ:建設業法第3条第1項の許可を受けていること
- 第1号ロ:建設キャリアアップシステムに登録していること(=CCUS事業者登録)
- 第1号ハ:同告示第10条の登録を受けた法人(=JAC)または当該法人を構成する建設業者団体に所属し、行動規範を遵守すること(=JAC加入)
- 第5号:1号特定技能外国人を建設キャリアアップシステムに登録すること(=CCUS技能者登録)
第1号ロと第5号はいずれもCCUSの登録を指し、事業者側か技能者側かが違うだけです。JAC加入の根拠はこの2つではなく第1号ハで、条文上は別の要件として立っています。条文は運用要領別冊(特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-建設分野の基準について)の「第4 建設特定技能受入計画の認定」に【関係規定】として掲げられており、上記の第3条第3項各号はそこに条文どおり載っています。ただし同別冊は告示の全文集ではなく、章ごとの抜粋のため、箇所によって「(略)」とされている条・号があります。稟議に告示そのものを添付する場合は、告示の原文をご確認ください。
受入負担金は日割りなし・不課税・本人負担は禁止
金額そのものはJACの「年会費と受入負担金」に、算定と負担のルールは別文書の『外国人受入れマニュアル』第2章03「受入れにかかる費用」に書かれています。見積を外しやすいのは後者で、金額のページだけを見ると次の4点が抜けます。
- 日割計算を行わない。就労を開始した日(在留カード「特定技能1号」の交付年月日)が属する月を1月目、雇用契約を満了した日または退職した日が属する月を最終月として数える
- 消費税は不課税取引。費用計上時の消費税区分は「不課税」とする
- 原文「直接的又は間接的を問わず、1号特定技能外国人に負担させてはいけません」
- 特定技能2号は受入負担金の対象とならない
月末に就労を開始してもその月が1月目なので、数え方だけで見積は1〜2か月分ずれます。稟議書には総額ではなく「人数×カウント月数×12,500円」と書き、起算日の根拠として在留カードの交付年月日を添えます。
年会費0円は「JACに払わない」であって「どこにも払わない」ではない
正会員である建設業者団体の傘下に入る場合、JACの公表原文は「JACの正会員である建設業者団体に所属している受入企業・個人は、団体がJACに年会費を収めているので、JACに年会費を納める必要はありません。(所属する建設業者団体の定める会費を団体に納めてください。)」です。年会費が0円である旨と、団体への会費を求める括弧書きは、同じ段落に並んでいます。同じページの見出し「年会費」の下には「JACに納める年会費はありません。」とだけあり、こちらに括弧書きは付いていません。JACへの年会費が0円であることと、団体への会費が0円であることは別の話です。
団体の会費に統一額の公表はないため、ここは相場を書けません。加入できる団体は、JACが公表する正会員・賛助会員一覧に「正会員(63建設業者団体)」として掲載されています。該当する団体に会費を直接確認し、金額と確認日を稟議に書きます。団体に所属しない場合は賛助会員として年24万円で、こちらは公表額です。自社で選べる分岐なので、両ルートを並べておくと選定理由が残ります。
CCUSの2費目はJACが全額支援。ただし支援の形が違う
JACは管理者ID利用料と能力評価手数料を全額支援すると公表していますが、経理上の扱いは別物です。
- 管理者ID利用料は立替型。原文は「一旦(一財)建設業振興基金(CCUS事務局)へお支払いいただき、後日JACより受入企業に全額入金いたします」。支出と戻りは相殺せず、二行に分けて書きます
- 能力評価手数料はそもそも支払いが発生しません。建設業振興基金による全額支援が2025年8月1日から実施されており、2026年4月1日から当面の間延長されています。JACの原文も「手数料の支払いが不要となりますので、JACへの能力評価手数料補助申請も行えません」としています。立替の行を立てると、ありもしない支出と戻りを両建てすることになります
事業者登録料・技能者登録料・現場利用料は、支援の対象として書かれていません。なお延長の終了時期は「改めてご案内」とされているため、期をまたぐ稟議では取得日を明記します。
在留資格の更新は「毎年1回」とは限らない
法定手数料は、海外から呼び寄せる場合の在留資格認定証明書交付申請が0円(原文「手数料はかかりません。」)、国内在留者からの変更許可申請と更新許可申請が各6,000円(オンライン申請は5,500円、いずれも収入印紙で納付)です。
回数を決めるのは在留期間です。出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二は、特定技能1号について「三年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」と定めています。上限が3年で、実際の期間は個々に指定されるため、更新の回数は在留カードの在留期間を見るまで確定しません。「毎年6,000円」と決め打ちすると、期間が短く指定された場合に不足します。稟議書では在留カード記載の在留期間から回数を数え、確定前は幅で書きます。
なお同じ別表第二で「一年を超えない範囲内」と定められているのは技能実習1号で、特定技能1号とは別の欄です。
公表額を確認できない2項目の書き方
支援委託費と受入計画の認定申請手数料は、公表された金額を確認できていません。ここで書けるのは「確認できていない」までで、「存在しない」とは書けません。登録支援機関登録簿は登録の有無を示す名簿であって費用の公表制度ではなく、名簿に費用欄がないことは相場の不在を証明しないためです。同様に「無料」とも書けません。
公表統一値がない項目で稟議に耐えるのは、相場の推測ではなく見積の分解です。複数社に同じ粒度で出してもらう項目を先に決めておきます。照会先は、出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿で確認できます(2026年8月10日現在11,533件、Excelで公表。登録後に抹消された機関は掲載されていません)。
- 初期費用と月額の別、および在留期間中の総額
- 義務的支援10項目のうち、委託範囲に含まれるものと含まれないもの
- 通訳費・渡航費・住居手配費が別建てか委託費込みか
- 定期面談および行政への届出・報告を、どちらが実施するか
- 外国人1人を追加したときの増額単価
- 契約期間の途中で受入れが終了した場合の精算方法
この粒度で並べると、社ごとの金額差が「委託範囲の差」なのか「単価の差」なのかが分かります。後から問われるのは金額そのものより、比較の軸と取得日です。
金額に表れないコストは認定までの期間
国土交通省は全国向けに、受入計画の認定申請から認定まで「1か月半~2か月程度(補正期間を除く)」を見込むとし、あわせて「地方によっては、更に数か月かかることがあります」と付記しています(国土交通省「申請の手引き、様式、システム操作方法【特定技能制度(建設分野)】」、2026年8月14日取得)。関東地方整備局は「現在、非常に多数の申請を頂いている状況のため、全く補正がない場合でも申請から認定まで3ヶ月~3ヶ月半程度を見込んでいます」と公表しています(関東地方整備局「建設特定技能受入計画について」、同日取得)。
この3ヶ月半は関東地方整備局の数字であって全国一律ではなく、また「補正がない場合」の値です。補正が入ればさらに延びます。工程は受入計画の認定では終わりません。国土交通省は、受入計画の認定申請と出入国在留管理庁への在留資格の申請は並行申請が可能としたうえで、認定証が同庁への申請の添付書類となるため「当省の認定が出ない限り出入国在留管理庁の許可等は出ません」とし、同庁への申請は就労の開始を希望する日より2~3か月前を目安に、と案内しています。稟議の工程表は、認定までと入管手続きの二段で書きます。工程表は着任希望日から逆算しますが、先に決まってしまうのは認定申請の提出日です。申請できるのは、国土交通省の案内では雇用開始日の概ね6か月前からで(技能実習から継続して特定技能へ移行する場合は、技能実習計画の修了期日の6か月前から)、そこから認定までに1か月半〜2か月、関東地方整備局では3ヶ月〜3ヶ月半、さらに入管手続きが続きます。着任希望日から引き算した提出日が、この所要期間を確保できているかを先に確かめます。
契約の相手方と責任の所在
当社は、職業紹介事業許可、労働者派遣事業許可、登録支援機関登録のいずれも保有していません。したがって人材の募集・紹介・あっせん・派遣は行わず、1号特定技能外国人支援計画の委託先にもなりません。
契約は分けて結びます。許可を要する工程は、当該許可を受けた事業者と貴社が直接契約し、その事業者が実施します。支援委託契約の当事者は貴社と登録支援機関であり、当社は当事者になりません。責任の所在もこの契約線に沿います。当社と貴社の間の契約範囲は、許可を要しない事務に限られます。
その範囲で当社が行うのは、費用内訳を出典つきで整理してお出しすること、貴社が選定された事業者の許可番号・登録番号を、後述の公表名簿で確認すること、工程を設計し進捗を整理することです。稟議書の内訳表に「契約の相手方」欄を1列足しておくと、決裁後に誰へ発注するかが費目ごとに一意に決まり、責任の所在も同時に残ります。確認先の名簿は公開されています。登録支援機関は、出入国在留管理庁の登録支援機関登録簿に掲載されます。職業紹介については、出入国在留管理庁の運用要領が、あっせんする者がある場合の提出書類として「厚生労働省職業安定局ホームページの『人材サービス総合サイト』の画面を印刷したもの」を挙げています。当社はTerra Vista株式会社(法人番号1030001171183、設立2026年2月24日、日本)で、上記のとおりいずれの許可・登録も保有していません。
受入予定の人数と時期をお聞かせください。30分の無料相談で、公表額と未確認項目を分けた内訳の形に整理してお出しします。
よくあるご質問
特定技能「建設」で、受入企業が必ず負担する費用は何ですか?
加入ルートを問わず必ず発生するのはJACの受入負担金で、1号特定技能外国人1人あたり月額12,500円(年15万円)です。このほかCCUSの事業者登録料・技能者登録料・管理者ID利用料と、在留資格の法定手数料がかかります。
JACの年会費24万円は、どの企業にもかかりますか?
かかりません。JACの正会員である建設業者団体の傘下に入る場合、JACに納める年会費は0円と公表されています。24万円/年は賛助会員の額で、賛助会員になるのは、所属する建設業者団体がJACの正会員ではない場合と、団体に所属していない場合の二つです。ただし傘下に入る場合も、所属する建設業者団体が定める会費は団体に納める必要があり、その額に統一的な公表はありません。
登録支援機関への委託費の相場はいくらですか?
公表統一値を確認できていません。登録支援機関登録簿は登録の有無を示す名簿で費用を公表する仕組みではないため、そこに費用欄がないことは相場の不在を意味しません。相場を推測せず、委託範囲・別建て費目・追加単価・中途終了時の精算まで同じ粒度で複数社から見積根拠を取り、比較の軸と取得日を残します。
特定技能1号の在留資格は毎年更新が必要ですか?
毎年とは限りません。出入国管理及び難民認定法施行規則別表第二は、特定技能1号の在留期間を「三年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」と定めており、期間は個別に指定されます。更新回数は在留カードに記載された在留期間を確認して数えます。
受入計画の認定には、どのくらいの期間がかかりますか?
国土交通省は全国向けに「1か月半~2か月程度(補正期間を除く)」を見込むとし、「地方によっては、更に数か月かかることがあります」と付記しています。関東地方整備局は「現在、非常に多数の申請を頂いている状況のため、全く補正がない場合でも申請から認定まで3ヶ月~3ヶ月半程度を見込んでいます」と公表しています。後者は同局の数字で、全国一律ではありません(いずれも2026年8月14日取得)。
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