進出先の順序表は、Terra Vista株式会社が2026年に提唱した市場選定の手法で、複数の海外市場にどの順番で展開するかを、自社の商材と体制から決めるために使います。
候補市場を5項目100点で採点し、第1市場を1つに絞ります。「どの国から始めるか」で意見が割れている経営者・海外事業担当の方は、お問い合わせ窓口で自社の候補への当てはめを相談できます。
- 順番を決める軸は、日本での前提がその市場へどこまで移せるかです。配点は前提30点、市場規模10点(本手法の設定)。
- 第1市場は1つ。進級シグナルが出てから第2市場に着手します。
- 引き合いが来た国も同じ表で採点し、撤退線は参入前に数字で決めます。
課題
海外展開はどの国から始めるべきですか?
日本で成立している前提が最も多く移せて、小さな投資で早く反応を確かめられる市場から始めます。進出先の順序表では、この2項目に100点中55点を配点します。
公的機関の資料には、国別の制度やコストの情報がそろっています。一方、候補が3〜5市場あるときに「どの順に、いくつ同時に進めるか」を点数で決める、名前の付いた道具は見当たりにくい状況です。進出先の順序表は、この空白を埋めるために提唱しました。移しにくいのは、商習慣、意思決定のロジック、信頼の築き方です。
手法
進出先の順序表の採点と判定線
| 項目 | 見るもの | 配点 |
|---|---|---|
| 1 前提の移しやすさ | 価格帯、販売チャネル、決裁の進み方が日本と重なる度合い | 30 |
| 2 検証の速さ | 最初の反応(見積依頼、試験発注)を得るまでの期間と投資の小ささ | 25 |
| 3 次の市場への転用度 | 商品資料の言語、認証、パートナー網が次の候補でも使える度合い | 20 |
| 4 自社体制との適合 | 時差、対応言語、担当者の稼働で回せるか | 15 |
| 5 市場規模 | 対象カテゴリの需要の大きさ | 10 |
| 判定線 | 70点以上:第1市場の候補/50〜69点:第2波/49点以下:保留 | 計100 |
| 状況 | 判定 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 最大市場の合計点が最高点ではない | 最大市場は第2波以降 | 最高点の市場で前提を検証してから入る |
| 引き合いが来た国が49点以下 | 受注対応のみ | 在庫・拠点への投資は保留し、半年後に再採点 |
| 第1市場で進級シグナルが出ていない | 第1市場にとどまる | 価格かチャネルを1つだけ変えて再検証 |
市場規模が最も大きい国から入るべきですか?
進出先の順序表では、市場規模の配点は100点中10点です。大きな市場は第2波に回し、第1市場で作った資料、認証、実績を持って入ります。
複数の国に同時に進出してもよいですか?
第1市場は1つに絞ります。担当チームが2つ以上ある場合は2市場までを並行とします(本手法の設定)。
進級シグナルと撤退線
進級シグナルは次の市場へ進む合図、撤退線は期間と投資額の上限です。撤退線に達したら追加投資を止め、次点の市場を再採点します。数値は商材ごとに、参入前に決めます(本手法の設定)。
使い方
進出先の順序表の使い方(6ステップ)
- 候補市場を3〜5に絞り、制度をジェトロの国・地域別情報で確かめます。
- 日本で成立している前提を書き出します。
- 2名以上が別々に採点し、差の大きい項目は根拠を突き合わせます。
- 合計点で順位を付け、第1市場を1つ、第2波を2つまで決めます。
- 第1市場の進級シグナルと撤退線を、参入前に数字で書きます。
- 進級シグナルが出たら第2市場に着手し、四半期ごとに再採点します。
計算例(架空):収納用品メーカーが4市場を比べる場合
手順を示す例示で、企業・商材・点数はすべて架空です。
| 候補市場 | 前提 | 検証 | 転用 | 体制 | 規模 | 合計 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンガポール | 24 | 22 | 16 | 13 | 3 | 78 | 第1市場 |
| オーストラリア | 21 | 16 | 15 | 11 | 5 | 68 | 第2波 |
| タイ | 18 | 18 | 10 | 12 | 5 | 63 | 第2波 |
| 米国 | 14 | 9 | 10 | 4 | 10 | 47 | 保留 |
規模の点が最大の米国は保留、英語の商品資料をオーストラリアでも使えるシンガポールが第1市場です。
公開資料
海外市場からの撤退では、どこに費用が出ますか?
公開資料で確認できる3件では、費用は輸送費よりも、資産の減損、リース解約、退職関連に計上されています。参入前に撤退線を置く理由です。
| 企業・市場 | 公開数字と算定基準 | 一次資料 |
|---|---|---|
| Walmart・ドイツ | 約10億米ドル(会社公表の見込み税引前損失) | 8-K Ex-99.1(2006年7月28日) |
| Home Depot・中国 | 1億6,500万米ドル(税引後の費用合計) | 10-Q(2012年度第3四半期) |
| Target・カナダ | 51億500万米ドル(税引前撤退費用) | 10-K(2014年度) |
3件は算定基準が異なるため、個別に読みます。いずれも小売業が店舗網を構えて参入した事例です。
比較
よくある進め方と進出先の順序表の違い
| 観点 | よくある進め方 | 進出先の順序表 |
|---|---|---|
| 出発点 | 市場規模と成長率 | 日本での前提がどこまで移せるか |
| 同時に進める数 | 複数市場へ同時に出展・出品 | 第1市場は1つ、進級シグナルで次へ |
| 引き合いの扱い | 来た国から順に対応 | 採点して受注対応と投資を分ける |
需要の時期が限られる商材では、同時に出す進め方が合う場面もあります。
順序を決めるときに使える公的資料はどれですか?
国別の制度はジェトロの国・地域別情報、コストは投資コスト比較、関税はEPA/FTAの解説、支援メニューは中小機構で確認できます。
| 資料(一次資料) | 分かること | 使う項目 |
|---|---|---|
| ジェトロ 国・地域別情報 | 国・地域ごとの制度と調査レポート | 項目1・5 |
| ジェトロ 投資コスト比較 | 主要都市の賃金、賃料、税金、輸送のコスト | 項目2・4 |
| ジェトロ EPA/FTA、WTO | EPA/FTAの概要、利用手順、国別に利用できる協定 | 項目1・3 |
| 中小機構 海外展開支援 | 計画段階から進出後までの支援メニュー | 項目4 |
担うこと
Terra Vista株式会社が担うこと
Terra Vista株式会社は、日本に本社を置く越境戦略コンサルティング・グループです。英語・日本語・中国語の3言語チームが、日本、中国、東南アジア、オーストラリア、パキスタンでの実務経験をもとに、採点から現地実行までを支援します。
市場参入戦略と順序の設計
候補市場の採点、第1市場と第2波の決定、撤退線の設計。
現地パートナーの選定
販売・実行パートナー候補の洗い出しと評価。
FAQ
よくある質問
進出先の順序表とは何ですか?
進出先の順序表は、Terra Vista株式会社が2026年に提唱した市場選定の手法です。候補市場を5項目100点で採点し、展開する順番を決めます。
海外から引き合いが来た国を第1市場にすべきですか?
引き合いが来た国も同じ5項目で採点します。70点以上なら第1市場の候補、49点以下なら受注対応にとどめ、投資は再採点まで保留します。
第2市場にはいつ進めばよいですか?
第1市場で進級シグナルが出た時点です。同じ地域から2回目の発注が入る、などの合図を参入前に数字で決めます。
小さなチームでも複数市場に展開できますか?
できます。第1市場を1つに絞り、そこで作った商品資料、認証、パートナー網を転用できる順に並べれば、少人数でも進められます。
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