輸入三関門チェックとは、Terra Vista株式会社が2026年に提唱した方法で、海外調達やOEM輸入で自社が輸入者となる日本企業が、輸入前に製品関・輸入者関・表示関の三つの関門を順番に確認するために用います。
想定する読み手は、海外の工場から家電や食品原料、化粧品、繊維雑貨などをOEMで仕入れ、自社の名義で輸入者になる日本企業です。輸入者になった時点で、届出や表示の義務に加えて、製造物責任法上の製造業者としての立場も引き受けることになります。まず下の表で自社の案件を確認してください。取扱製品と輸入予定時期をTerra Vistaお問い合わせページからお送りいただければ、3営業日でルート表をお返しします。
要点
- 三つの関門はどの品目にも同じ順で当てはまる。製品そのものが日本で売れる状態か、法律上誰が輸入者になるのか、パッケージと広告に何を書けるのか、という三つである。
- 製品関を満たしていても、輸入者関が空欄のままでは輸入できない。発注先の検査報告書は揃っているのに輸入者が決まっていない、という抜け漏れが最も多い。
- PSEの区分について、ネット上の二次情報は誤っていることが多い。本ページでは経済産業省の品目表の項番で確認し、伝聞では書かない。
- 輸入消費税の仕入税額控除を受けられるのは、自己の名義で輸入申告をした者だけである。輸入代行に出す場合、この一点が輸入者を誰にするかを左右する。
第一関門:製品関
製品関は、その製品がそもそも日本国内に持ち込める状態かどうかを確認する関門です。多くの消費財は次の四つの法律のいずれかに該当します。電気用品安全法(PSE)はプラグや電池を使う製品、電波法(技適)はWi-FiやBluetoothなど無線機能を持つ製品、食品衛生法は食品と食品原料、薬機法は化粧品を対象にします。
電気用品安全法は電気用品を二つに区分します。116品目が特定電気用品で、菱形PSEを表示するには、経済産業大臣の登録を受けた登録検査機関の適合性検査を受け、証明を取得しておく必要があります。341品目が特定電気用品以外で、丸形PSEは輸入する事業者自身が技術基準に照らして自主確認すれば足り、第三者機関の関与は不要です。似た製品だから隣の項番と同じ区分だろう、という思い込みは、海外の発注先とのやり取りで最もよく起きる誤りです。下表には項番をそのまま載せています。
| 製品 | PSE区分 | 経産省品目番号 | 確認する主体 |
|---|---|---|---|
| ヘアドライヤー(毛髪乾燥機) | 丸形PSE(特定電気用品以外) | 第218項 | 輸入者による自主確認 |
| 電気ケトル(電気湯沸器) | 丸形PSE(特定電気用品以外) | 第104項 | 輸入者による自主確認 |
| 炊飯器(電気がま・電気ジャー) | 丸形PSE(特定電気用品以外) | 第96項・第97項 | 輸入者による自主確認 |
| モバイルバッテリー(リチウムイオン蓄電池、単電池のエネルギー密度400Wh/L以上) | 丸形PSE(特定電気用品以外) | 第341項 | 輸入者による自主確認 |
| ACアダプター・充電器(直流電源装置) | 菱形PSE(特定電気用品) | 第115項 | 登録検査機関(第三者) |
Wi-FiやBluetoothなどの無線機能を持つ製品には、PSEとは別に、電波法に基づく技適マークが必要です。受信専用とされるイヤホンのような機器も、ペアリング時に識別信号を発する以上、対象になります。技適マークは総務大臣の登録を受けた登録証明機関が、技術基準適合証明(個別の機器を対象)または工事設計認証(量産機種を対象)のいずれかで発行します。技適マークのない無線設備を使用すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は5年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金の対象になり得ます。
食品と食品原料は、営業目的で輸入するたびに、全国32か所の検疫所食品監視窓口のいずれかに食品等輸入届出書を提出しなければなりません。違反の可能性が高いと判断された貨物は命令検査の対象になり、費用は輸入者の負担で、結果が出るまで輸入は認められません。品目ごとに計画的に行われるモニタリング検査であれば、費用は国が負担し、結果が出る前でも輸入を進められます。添加物は指定添加物または約365品目の既存添加物名簿のいずれかに載っていなければならず、そこにない物質は輸出元でどれほど一般的でも未承認の添加物として扱われます。牛の皮や骨に由来する原料(ゼラチンやコラーゲンを含む)には、BSE対策としての輸入制限が原則として課されています。対象国・地域や月齢・部位ごとの現行の例外条件は、公的な一次資料で確認が取れていません。該当する原料を扱う場合は、最新の取扱いを検疫所に直接確認してください。
化粧品の製品関は、実質的に二つの許可から成ります。一つは化粧品製造販売業許可で、国内市場に製品を出し最終的な責任を負う者が取得し、法定資格を満たす総括製造販売責任者を配置します。もう一つは化粧品製造業許可で、包装・表示・保管という国内での工程が薬機法上は製造工程の一部と位置づけられているため、輸入化粧品であっても必要になります。これらの許可を誰が持つかは、誰を輸入者にするかという判断と密接に関わるため、日本の輸入者の選択肢もあわせてご覧ください。
第二関門:輸入者関
輸入者関で問われるのは、法律上の主体が誰かという一点です。次の四つの事実が実務を左右します。
- 誰が輸入者にあたるか。税関の説明によれば、輸入者は原則としてインボイスと船荷証券に荷受人として記載された者である。日本国内に住所や本店を持たない者(非居住者)が自己の名義で輸入申告をしたい場合は、税関事務管理人(ACP)を指定する必要がある。日本企業が海外工場に代わって輸入者になる場合は、この非居住者の論点は生じず、自社がそのまま輸入者になる。
- 付随する届出と義務。ここは品目ごとに異なる。電気用品なら、事業を開始した日から30日以内に所管の経済産業局へ事業届出を提出し、自主検査記録を保存する。食品なら輸入のたびに食品等輸入届出書を提出し、化粧品なら上記二つの許可を揃える。
- 製造業者とみなされる地位。製造物責任法第2条第3項第1号は「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」を製造業者と定義している。輸入者は、別途の手続きを経ることなく、輸入した時点でメーカーと同じ無過失責任の対象になる。被害者側は過失を立証する必要がなく、欠陥と損害の因果関係を示せばよい。
- 輸入消費税の仕入税額控除を受けられる者。国税庁の説明によれば、保税地域から自己の名義で貨物を引き取った者、すなわち輸入申告名義人だけが、納付した輸入消費税について仕入税額控除を受けられる。通関手続きを輸入代行業者に委託し、その業者が自己の名義で輸入者として申告した場合、委託者が後から税額分を支払ったとしても、委託者側は仕入税額控除を受けられない。
控除の可否、届出義務、製造物責任法上の地位は、いずれも一つの申告名義に紐づいています。誰を輸入者にするかは、コンプライアンス上の論点であると同時に、原価計算にも関わります。詳しくは輸入者の選択肢ページで扱っています。
第三関門:表示関
表示関は、パッケージに何を書くか、広告で何を訴求できるかを扱います。食品については、食品表示法が名称・原材料・添加物・内容量・期限(消費期限又は賞味期限)・保存方法・原産国名・輸入者の名称及び営業所住所・アレルゲン・栄養成分などの表示を求めます。業務用として企業間で取引される食品原料であれば、これらの事項を送り状・納品書・規格書などの書類に記載すればよく、統一された一括表示の様式や内容量の表示は義務づけられません。
繊維製品・衣料・生活雑貨については、家庭用品品質表示法が繊維製品・合成樹脂加工品・電気機械器具・雑貨工業品の四分野のうち政令等で指定された品目を対象に、COTTONやSILKなど一部の英語表記を除き日本語での表示を求め、表示義務者は製造業者・販売業者、またはそれらから委託を受けた表示業者のいずれかになります。電気用品については、PSE表示に記号(PSEマーク)・届出事業者名・登録検査機関名称(特定電気用品のみ)・定格電圧や電流などの定格の四項目があり、うち三項目は近接して表示しなければならず、表示できるのは届出をした事業者本人に限られます。
製品の表示に加えて、景品表示法は広告も規律しており、実際より著しく優良または有利であるかのような表示は不当表示にあたります。一般食品が「脂肪を燃焼する」といった具体的な効能を標榜すれば、薬機法上の無承認無許可医薬品として扱われるおそれがあります。
品目別に見る三関門
下表は横方向に読みます。製品関・輸入者関・表示関のそれぞれで何をするか、その手続きを誰が行うか、公的に示されている期限はいつかを並べています。期限が公表されていない項目は、数字を推測せず「未公表」と記しています。
| 品目 | 製品関ですること | 輸入者関ですること | 表示関ですること | 担当 | 公的に示された期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電気用品(ヘアドライヤー、電気ケトル、炊飯器、アダプター、モバイルバッテリー) | 丸形PSE品目は自主確認。菱形PSE品目(ACアダプター・充電器)は登録検査機関の適合性検査 | 所管の経済産業局へ電気用品輸入事業届出。自主検査記録を保存 | 記号・届出事業者名・登録検査機関名称(菱形のみ)・定格電圧や電流を近接表示 | 丸形PSEは輸入者自身。菱形PSEは登録検査機関(第三者) | 事業届出:事業開始日から30日以内。記録保存:3年間。菱形PSEの検査自体の所要日数は未公表 |
| 無線機能付き電気用品(Bluetooth、Wi-Fi) | 技適マーク(技術基準適合証明又は工事設計認証のいずれか)を登録証明機関が発行 | 電波法第102条の11第1項に基づき、技術基準不適合の無線設備を輸入しない努力義務 | 技適マークを表示(機器本体のほか、充電ケースや取扱説明書に表示される例もある) | 登録証明機関がマークを発行。努力義務は輸入者が負う | 審査の所要日数は未公表 |
| 食品・食品原料 | 輸入のたびに食品等輸入届出書を提出。命令検査又はモニタリング検査の対象になり得る。添加物は指定添加物又は既存添加物名簿のいずれかに該当する必要 | 輸入申告に先立ち検疫所の食品監視窓口へ届出。当該ロットの国内表示に輸入者が責任を負う | 名称・原材料・添加物・内容量・期限・保存方法・原産国名・輸入者の名称及び営業所住所・アレルゲン・栄養成分(業務用原料は送り状や規格書での代替可、内容量表示は不要) | 輸入者が届出。検疫所が検査 | 輸入申告に先立って提出。審査に要する日数は未公表 |
| 化粧品 | 化粧品製造販売業許可と化粧品製造業許可(包装・表示・保管を含む) | 品目ごとの製造販売届(個別審査ではない。届出時期は公式資料で未確認)。輸入者は製造物責任法上も製造業者とみなされる | 全成分を邦文名で表示。効能効果の標榜は56項目の範囲内に限定。配合禁止・制限成分は化粧品基準の別表による | 都道府県の薬務主管課が許可を発行。資格を満たす総括製造販売責任者が管理 | 許可の審査に要する日数は未公表 |
| 繊維・衣料・生活雑貨 | 認証は不要だが、家庭用品品質表示法の対象四分野のいずれかに該当すれば表示義務が生じる | 輸入に関する許可は不要。輸入者は製造物責任法上は製造業者とみなされる | 特定の英語表記を除き日本語で表示。義務者は製造業者・販売業者又は表示業者 | 製造業者・販売業者又は表示業者のいずれかが自ら対応 | 該当なし(届出や許可という手続き自体がない) |
設例(架空の製品)
三関門がどう重なるかを示すための設例であり、実在の取引ではありません。中国の工場からBluetooth機能付きヘアドライヤーを日本へ輸入する場合を想定します。
| 関門 | 該当する事項 | 読み方 |
|---|---|---|
| 製品関 | ヘアドライヤーとしては丸形PSE、第218項、自主確認。Bluetooth機能としては技適マーク、登録証明機関による認証 | 根拠法が異なる二つの独立した確認であり、PSEの自主確認は無線機能を、技適の認証はPSEが求める電気安全の項目をそれぞれカバーしない |
| 輸入者関 | 発注先の工場は日本に法人を持たない | 販売開始前に輸入者を確定させる必要がある。日本企業自身が輸入者になる、工場が自己の名義で申告し税関事務管理人(ACP)を指定する、又は別の日本企業が輸入者になる、のいずれかを選ぶ |
| 表示関 | PSE表示と定格電圧・電流、技適マーク | 両方の表示が必要であり、それぞれ届出又は認証を持つ側しか表示できない。PSEの届出事業者だからといって技適マークまで代わりに表示してよいわけではない |
Terra Vistaはこの表をどう使うか
Terra Vista株式会社は、輸入三関門チェックを三種類のシートに落として案件を整理します。取扱製品と輸入予定時期をお知らせいただければ、それぞれ下記の営業日数でお返しします。一般商品、アパレル・家庭用品、電気用品(PSE)、食品(輸入のみ)については、Terra Vista株式会社が輸入者を引き受けます。シートで整理した結果は、必要な検査・認証の手配、輸入者の確定、日本語表示の作成、通関後の販路づくりまで、Terra Vista株式会社が実務として担います。
よくある質問
輸入三関門チェックとは何か
輸入三関門チェックは、Terra Vista株式会社が2026年に提唱した方法です。海外調達やOEM輸入で自社が輸入者となる日本企業が、輸入前に製品関・輸入者関・表示関の三つの関門を順番に確認するために用います。
輸入者は必ず自社にならなければならないか
いいえ。関税法上の輸入者は原則としてインボイスと船荷証券に記載された荷受人であり、自社の名義で輸入申告をする場合に自社が輸入者になります。取引先の日本企業や輸入代行業者が自己の名義で輸入申告をする場合は、その名義人が輸入者としての義務を負います。
ヘアドライヤーや電気ケトルはPSEのどちらに区分されるか
経済産業省の品目一覧によれば、毛髪乾燥機(第218項)、電気湯沸器(第104項)、電気がま・電気ジャー(第96項・第97項)、リチウムイオン蓄電池(第341項)はいずれも特定電気用品以外(丸形PSE)に区分され、事業者自身の自主確認で足ります。特定電気用品(菱形PSE)に区分されるのは直流電源装置、すなわちACアダプターや充電器(第115項)であり、登録検査機関による適合性検査が必要になります。
Bluetooth搭載製品を輸入する場合、PSE以外に何が必要か
電波法に基づく技適マークが別途必要になります。技適マークは総務大臣登録の登録証明機関が技術基準適合証明または工事設計認証のいずれかで発行するものであり、PSEの適合性検査とは別の手続きになります。受信専用とされるBluetooth機器も識別信号を発する以上、技適の対象になります。
輸入消費税の仕入税額控除は誰が受けられるか
保税地域から自己の名義で貨物を引き取り、輸入申告をした者のみが仕入税額控除を受けられます。通関手続きを他社に委託し、その委託先が自己の名義で輸入者となって申告した場合は、後で立替分を支払ったとしても、委託した側は仕入税額控除を受けられません。
まず確認したい公的情報源
- 経済産業省・特定電気用品116品目一覧(菱形PSE)と特定電気用品以外341品目一覧(丸形PSE)、およびPSE表示のルール。
- 総務省・技適マークのQ&A(無線機能付き機器)。
- 厚生労働省・輸入食品監視業務FAQ(食品等輸入届出と検査区分)。
- 税関・輸入者の定義と税関事務管理人(ACP)の手続き(非居住者向け)。
- 国税庁・輸入する貨物の納税義務者(仕入税額控除を受けられる者)。
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